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聞く音と聞かれる音 投稿者:ふじもと - 2011/02/19(Sat) 09:17:12 No.898    引用する 

はじめまして。ふじもとと申します。
いつも素晴らしいアドバイスにうなずかされます。
即出の質問だったらすみません。


スタジオに入っていたり、ライブに出たりして自分がいつも悩むのは自分の”聞く音”と相手、観客からの”聞かれる音”の違いです。
プレイヤー目線で聞いているのと観客目線で聞いているのでは音がかなり違うように思います。

スネアで言えば、自分には少し乾いた表の音が聞こえていますが、前に立つと裏側の音もしっかり聞こえたスネア全体の音が聞こえます。
シンバルにも言えることですが、聞く”場所”によって音が変わります。


これは当たり前の現象かもしれません。
しかし他の楽器と違って自分自身で音を確認することができないので、別の人にたたいてもらったり、頭の位置を変えて聞いたりしています。
チューニングやプレイにおいて注意するところはどこでしょうか?

今後の参考にさせてください。
よろしくお願いします。

Re: 聞く音と聞かれる音 投稿者: - 2011/02/26(Sat) 00:27:43 No.900   <Home>  引用する 

ふじもとさん、はじめまして。
ご質問をありがとうございます。

お褒めの言葉、とてもとても嬉しく思います。
ありがとうございます。
これからも精一杯の回答を続けて参ります。
引き続きどうぞよろしくお願い致します。

また、
今回の回答が大変遅くなりましたこと、
申し訳ありませんでした。

それでは早速。。。



ふじもとさんのおっしゃる通り、
ドラムは叩き手側と聴き手側では
大きく音が異なるように感じ易いものです。

理由は様々ありますが、
最も大きな理由としてあげられるのは、
「一番聴こえやすい音」
「自分の聴きたい音」
を聴いて『しまって』いるから」ということです。


具体的に掘り下げてみます。

文章の中にもありますように
スネアの音について考えてみます。

叩き手側からは
「少し乾いた表の音」とありますが、
本当にそれだけでしょうか?

ここで是非チェックして頂きたいのが、
「スナッピーを外して叩く」ということです。


そうすることで
いわゆる胴の浅いタムのような音がします。

その音は
アタック音
=固い、強い、高い、乾いた、、、などの音が
大きく目立って聴こえて来ますが、
それと同時に
太鼓全体が響く音
=低い、長い、重い、、、などの音が
聴こえてくることに気が付かれるかと思います。

※あまりに極端にハイピッチにチューニングしてあると
分かりにくい場合があります。



音は低音域より高音域のものが目立って聴こえます。

しかもスネアは
「他の太鼓と大きく違って目立つ音」
として存在しています。


つまり叩き手としては、
特にそのアタック音以外の音は
「聴こえてはいるけれど耳が傾きにくい音」
となっている、ということになります。

さらにその音は、
スナッピーを入れることで
裏のヘッドのミュートの効果もあり、少々軽減されてしまったり、
また、そのスナッピー自体の高音域の音が目立って聴こえることとなります。

しかしながら、
必ずどちらの音も聴こえているはずです。



試す場合は
リムショットにしないで、
ヘッドの中心を叩いてみて下さい。

叩く場所の環境にも大きく左右されますが、
あまり大きく残響音が残らないような場所だと分かりやすいです。




バスドラムの場合は以下の通りです。

確認の方法としては
打面と反対側、フロントヘッドを確実にミュートしてみて下さい。

一番分かりやすいのは
叩いている最中に、誰か他の人に
手のひらでぺたっと押さえたり、離したりしてもらうことです。

押さえたときに聴こえる音と、
離したときに聴こえる音を比べてみて下さい。

どんな音が「出ているのか」をはっきり認識出来ることと思います。



バスドラムやタムなどに対して、
はっきりと確認出来るポイントがもう一つ。

叩いているところではなく、
他のタムやフロアタムの裏ヘッドを
しっかり手で押さえたり、離したりしてみて下さい。

「共鳴」「共振」の音の存在がはっきりと認識出来ることと思います。



シンバルについては、
叩き手側には、
アクセントとして叩いている、という意識も強くあり、
アタック音が耳と手の感触などに強く大きく伝わって来ますが、
聴き手側には、
同時に叩いている太鼓(=バスドラム/スネア)がアタック音として聴こえ、
シャーンと伸びている音が強く印象に残ります。

自分が叩いているときに、
シンバルの音がどれくらい、どんな音で伸びているのか、に、
注意して耳を傾けてみて下さい。




これらの方法は、
単なる音の確認ではなく

「現実として今、目の前のドラムはどんな音が出ているのか?」

を知り、確認する方法です。




その音に満足するか、しないか。

高いと思うか、低いと思うか、
また、
長い、短い、重い、軽い、、、など、
その「現実的に出ている音」に対して
「出したい音」「欲しい音」「聴かせたい音」を考え、
叩き方やチューニングなどの方法によりコントロールする、
ということになります。



「思っている音」「想像している音」「聴きたい音」ではなく、
「今、出ている音」から
「出したい音」に近づけていく作業となります。


その差を埋めて行くことで
思い通りの音のコントロール、となります。



CDなどの音源から実際に聴こえてくる音を確認する。
ライブの音を録音し、聴こえ方を確認する。
レコーディングでのドラムの音だけを確認する。
他人が叩く音を確認する。。。

などを繰り返すことで、
思っている音ではなく現実に出ている音を認識しやすくなって行きます。

そして、そのいろんな音を知ることで、
「叩き手側が聴こえやすい音=主観的な音」
ではなく
「他人が聴こえる/認識している音=客観的な音」
に近づけて行くことが可能となります。



ミュージシャンは
音の「専門家」でもあります。

リスナーとして音楽に触れている人と、
楽器や演奏を通じて音楽に触れている人とでは
音の聴き方や感じ方、
そしてそこから発生する表現の仕方が
必ずしも同じではない、ということを是非とも考えてみて下さい。


「頭の中にある音」ではなく
「現実に表に出ている音」を知り、それをコントロールして下さい。






当スタジオは、
残響音をかなり抑えたスタジオとなっております。

上記で示しましたことを
全てその場で提示、確認することが可能です。

また、
それに対してのピンポイントの対策、アドバイスが行うことが出来ます。
是非とも一度直接のレッスンをご一考ください。



ふじもとさんの今後のプレイ、そして音の進化を願っております。



さらに疑問質問などありましたら
またいつでもこちらにいらして下さい。

次回のコミュニケーションを楽しみにお待ち致しております。

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